ふわふわのもち

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深く、くらい海の夢を見た。
どこか遠くの見知らぬ島で小さな村に身を寄せ合うように生きる人々がいた。
その島にいる子供はたったの五人。
村長の子である兄妹、大人しい男の子に可愛らしい女の子、彼ら四人は村の庇護の中で暮らしていた。
最後の一人は賢い少女、老爺とともにどこからともなく島に現れ村の外で暮らしていた。
子供たちは大人にないしょで島の中を駆け回り、老爺にひみつで彼の知識を身につけていった。
そんな彼らの愉快な毎日はとある新月の夜に終わりを告げた。
村に煌々と灯された篝火が海を照らす。暗くぬらりとした闇を切り裂くものなど今まで無かったというのに。
しろく波と泡を撒き散らしながら現れたのは人の身の丈を優に超える巨蟹だ。大人の胴ほどもあるハサミを振り回しては大人たちを切り刻み押しつぶす。
ていねいに、ていねいに。
恨みを晴らすがごとく、執拗に血と肉が撒き散らされる。
(未)

1/23/2023, 3:31:09 PM