“旅路”で“果て”だとどうもシリアスになる。
旅の終わり……そういえば沢木耕太郎の『深夜特急』、大昔に読んだけれど内容をほとんど忘れてしまった。最後はどうなったのだろう。
沢木耕太郎より時代は下るが、私がまだ若かった頃も若者の海外一人旅が流行った。
東南アジアやインド、南米など、当時の個人旅行先としてはマイナーな国を目指すバックパッカーが結構いた。
飛行機のチケットだけ取ってホテルも決めず日本を飛び立つ。お金をかけず安い宿で寝起きし、土地の人と同じものを食べ現地を巡る。トラブルはつきもので、それすら楽しんでいるようだった。
当時は海外の物価も安かったので、日本でバイトをして稼いでは旅に出る、を繰り返す人もいた。
旅行記を書籍やホームページで発信する人も少なからずいて、私はそんな彼らを無鉄砲だと思う一方で、羨ましさも感じていた。
旅に出たら自分も変われるかもしれないと思っていた。
いまやインターネットが全世界に普及し、良くも悪くも便利な時代、バックパッカーの醍醐味が非日常なら昔ほどは味わえなさそうだ。
私も今さらこの年で無謀な旅はしたくない。
それに、もう何も変わりはしないと分かった今、いわゆる「自分探しの旅」に出る理由もなくしてしまった。旅に出ずして果てを迎えそうである。
『旅路の果てに』
2/1/2024, 5:42:07 AM