徒然

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君の顔を見た瞬間、やるせない怒りが脳を灼いた。
微かに腫れた目元と、頬に残った乾いた潮の跡に、君がまたひとりで泣いていたことを知る。
君を泣かせた何かに対する憤懣は当然ある。でも同時に君に対しても理不尽な怒りをいだく。
どうして何も相談してくれない。どうして自分を頼ってくれない。どうしてひとりで耐えてしまおうとするのだ。
感情のままに怒声を響かせそうになったその瞬間、君がとても綺麗に微笑む。何もかも自分の身の内に沈めて吐露するつもりはないのだと。そんな顔をされてしまったら、自分は黙るしかない。喉元まで競り上がった言葉を無理やり嚥下する。
君と並んで歩き出す。ぽつぽつと会話をしながら呑み込んだ言葉を持て余す。怒りの波は沈まれど、完全に消えたわけではない。
一番腹立たしいのは、君が安心して心を預けられるだけの度量を持たない、自分自身の不甲斐なさだ。

7/27/2025, 2:08:20 PM