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よく見なれた街に、取り壊しが施され、また違う見慣れた街になる。

行く先行く先、何処に行くにしても誰かの見慣れた街であって、誰かが見慣れていた街じゃなくなっていたり。

見慣れた街には、何千通りの物語が、ここに在って、そこにもある。どこにだって植え付けられた、生きた証に。
その生きた証が、次世代によって取り壊される。

とある道を歩く度に思い出す。学生の通学路。
とある店に行く度思い出す。欲しいおもちゃ。
とある家族を見る度思い出す。幸せの形。
とある仲いい子を見る度思い出す。私の青春。
とあるカップルを見る度思い出す。片思いの楽しさ。
とある匂いを嗅ぐ度思い出す。私の母の味。帰る場所。
…泣きそうだ。

6/11/2024, 4:25:46 PM