雪うさぎ

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駅を出て実家に徒歩で向かっていると、雨がザアザア降ってきた。ちょうど傘を持っていたことに気が付き慌てて傘をさそうと、するとそれが日傘だったことを思い出した
渋々傘をたたみ、親にLINEで雨が降ってきて傘も持っていないから少し遅れると連絡した。近くにコンビニがあったので、ありがたくそこで雨宿りすることにした。
雨宿りするだけだと、なんだか申し訳ないので自分の好きな昆布のおにぎりと、からあげクン、肉まんとその時は少し寒かったので温かいお茶を買った。
なぜこんなに買うかって??それはね、インターネットで今後の天気を調べたら今は朝の9時半ごろで雨が止むのが、お昼すぎほどだったからだ。
こんなに買うのを見て、店員さんに聞かれた。「こんな雨の中傘も持っているのにどうしてささないんですか?」そう質問された。私は、傘の持ち手に貼られているシールを指さしていった。これ実は、折りたたみ傘じゃなくて折りたたみ日傘なんです。そういうと、店員さんが申し訳無さそうにペコリと頭を下げた。そして顔を上げると、「これサービスです。よかったらどうぞ」とからあげクンの新作をこっそり袋に入れてくれた。
しかし私は、「そんなもらえません」といい首をふる。だけど店員さんは、「良いんです僕のおごりです。」とニッコリしていった。「あ、それとちょっとまっていてください」といって奥に行ってしまった。
何しに行ったんだろう。と思い鞄の中に忍ばせていた、好きな作家の本を取り出し読んでいると、さっきの店員さんがビニール傘とメモを渡してきた。
「この傘、僕のですけど良かったら使ってください。メモは、コンビニを出たあとに読んでくださいね。」と言わてれ、「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」ありがとうございました。
そう言われて、コンビニをあとにした。メモにはこう書かれていた。「あなたの父母に僕の代わりに伝えてほしいことがあり、メモを書きました。優太からだと言ってください。優太はコンビニで今もすごく頑張っていたよと伝えてほしいんです。よろしくお願いします」とメモに書かれていた。なんだか、「優太」という名前がどこか懐かしい気がした。
傘をさして歩いていると実家が見えてきた。実家について親にこの話をすると、びっくりした顔をした。母がタンスの中から1枚の写真と、封筒をだしてきて父は、黙って目をつぶっていた。
私は、最初「なにかだめなことでも言っちゃったかな」とすごく心配だったが違ったようだ。
母が写真を私に渡してきて話し始めた。「優太はね、あなたのもともとの兄だったのよ。」私はびっくりした。Snow Man、なにわ男子にも入れそうな超イケメンだったからだ。母は、話を続けた。
「優太はさっき言ったようにね兄で、小学生の時でも女子の中ではとても人気でアイドルとかでもないのにファンクラブもあったの。覚えてない??」たしかに女友達からすごく羨ましがられていたのを思い出した。
「そして高校生の時家の近くでアルバイトを始めたの部活を時々休んでバイトをたくさんしていて、接客も最高だったらしいわ。」そう言い終わると、二人の表情が暗くなった。
次は父が話し始めた。「そしてアルバイトをしていた時、女の人の常連さんで結花さんという人がいたそうだ。ある日、その結花さんからまさかの言葉「付き合ってください」という言葉が出てきたそうだ。もちろん俺の息子は断った。しかしその女に恨まれて、4ヶ月後その女に優太が「いらっしゃいませ」と明るくいつものように接客すると、その女は近くにあったビニール傘を持って優太の方へ突進していったの。」私はだいたい想像できた。
その女が、ビニール傘で刺したことによって兄は死んだということを。
その瞬間雨がやんでいた空が急に曇りだし、雨が降ってきた。わたしたちが泣き始めたのと同じ瞬間に。私は今自分が雨に打たれているのか、ただただ泣いているのか区別がつかなくなった。
兄が入れてくれた、からあげクンがコンビニにいたときは温かったのに今はもうすっかり冷めきっていた。
優太と同じように......              泣き止んだ後、一度鏡を見てみた。涙の跡がくっきり出ていて、みんな顔がぐしゃぐしゃだったらしい。

私はそのまま寝てしまったから、あんまり覚えていないけれど........

7/27/2025, 7:05:41 AM