イヤホン越しに蝸牛の有毛細胞を揺らす低音が、心地良い。凝り固まった脳をじんわりとほぐしてくれる。
え、さっき授業で知った蝸牛と有毛細胞を言いたいだけだろって? さて何のことやら。
いやそうじゃなくて、その声の持ち主について、少し語らせてよ。あ、ちよっと待って。今、「ああ、これフィクションと見せかけて硫黄並みに臭いリアルの自分語り系だわ」って判断して閉じようとした人、いるでしょ? でもさ、ここまで読んでくれたのは何かの縁だし、どうせなら最後まで読んでってよ。ね?
その人の声はね、例えるなら温泉みたいなんだ。いや、そんなに高級な、お高くとまった響きではないから、どちらかと言うと実家のお風呂かもしれない。
時間の流れが通常の0.5倍速で、柔らかな湯気がその空間を満たしていて、ちゃぷちゃぷとどこか幼い擬音が泳ぐ、お風呂。
誰かに見せることなんて滅多にない、もろ肌を受け入れてくれる、お風呂。
ね、誰にも言わないでほしいんだけど、今の私の密かな夢はね、その人と一緒にお風呂に入ること。下心がまったくないと言えば、それはやっぱり嘘だけど、でもそれ以上に、非日常的と言っても過言ではないくらいに優しくて温かい空間で、桁外れに温かい声(と性格)を持つその人と、なんでもないことを一緒にダラダラ喋っていたいんだ。
これ本人に言ったら、引かれるかな。うーん、あの人のことだから平気な顔して、俺、風呂あんま好きじゃないんだよねとかぬかしそう。なんか、想像しただけなのに、何故だろう。少し悔しい。くそう、と呟きながら、拳を握りしめたくなる。そんな気持ち。
ともあれ、いつかその人とお風呂であったかいね
と笑い合えることを目指して、今日も今日とて口説き文句を考えているという報告をもって結びとさせていただきます。
1/11/2025, 12:37:52 PM