きつね

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こころの空が、もう長いこと晴れない。物憂げに曇ったかと思うと、しとしとと静かに雨が降り出した。肌にまとわりつくような湿気を含み、どんなに拭っても重苦しく、次第に息まで苦しくなってくる。
膝を抱えて雨ざらし。太陽のあたたかさを思い出しては、なれの果ての海に溺れていく。下から見上げた水面が揺れる。まだ届くのにと期待を持たせる。
どうせ届くことはない。太陽など二度と見られない。
そうして、また深く逃げていくのだ。
あたたかいと知りながら、その水面の向こう側へもがくことが、とても苦しいから。期待が潰えてしまうのが、とても怖いから。
岸への上がり方を、自ら忘れてしまったのだ。

2/25/2024, 5:46:08 PM