結婚は人生の墓場だという。
仕事は苦役であり、人生は死ぬ迄の苦行だという。
そのヒトはそうやって、仰々しく悲観を唱っていた。
私はそのヒトに幸せになってほしかった。
笑顔でいてほしかった。
だから楽しめる趣味を見つけ、
働きやすい仕事へ声をかけ、
白染めの衣装の似合う相手を紹介した。
一等嬉しそうな笑顔で、ありがとうと言われたから。
私のお陰で、とても幸せになれたと言われたから。
この白く美しい墓場で
苦しみを忘れたような笑顔が
本当に本当に嬉しくて。
だから、其処で御仕舞いにしてあげた。
<ハッピーエンド>
目が合うなぁ、とは思ってはいた。
此方が気付くと、澄ました顔で焦点をぼやかすけど
ふとした拍子に視線をやると、ぱちり一瞬き分、
その黒い目とかち合うのだ。
どうしたの、と隣に問われ。何でもないよ、と返す。
秘密を明かして尚今も、友人で居てくれる人だけど。
怖い話が一等苦手な人だから。
<見つめられると>
3/30/2024, 8:48:07 AM