三羽ゆうが

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栞を挟んで本をパタリと閉じる。これでもう15冊。時が流れるのははやいなぁ…なんてしみじみ考える。

「次、もうきてるよ。読むペースあげて」

…もう少しゆったり読ませてくれたっていいのに。ボクまだ見習いなのに。

「本に好き嫌いつけちゃダメでしょ」

だってこの本好きなんだもん。奇想天外な展開で他の本とは180度違う。全部面白いけど、特に面白いんだもん。

「選別、はやめにね」

……皆幸せに眠らせてあげられないの?

「天国があるなら地獄も必要なの。で、この人はどうする?」

んー…この人の本は、強盗して刑務所に入ってる間に終わっちゃってるみたい。本当ならここから更生する物語が綴られた筈だけど…。

「地獄でいいわね」

うん。次回作に期待かな。

「……その本、ずっとちびちび読んでるけど。はやくおくってあげてね」

好きなんだもんこの本。この人面白いんだよ。ずっと読んでたい。

「あまりココに滞在させると魂がさまよっちゃうでしょ」

……ごめんなさーい。じゃあこの本は地獄行きでいいよ。

「…地獄行きの本が好きとか物好きね」

こういう作業してると刺激求めたくなっちゃうんだよね。また好きな本に出会えたらいいなぁ…。


『好きな本』

6/15/2024, 10:21:33 AM