みるく

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 手元に三葉の写真がある。

 一葉は、私が三歳の頃。祖母と大きな口を開けて大笑いしているもの。私の髪は短く、白いワンピースを着ている。祖母は半袖のブラウスを着て、まだまだ若々しい艶やかな顔をしている。二人の前のテーブルには、グラスにストローが差してあり、カルピスだろうか? 白い液体と氷が見える。

 一葉は、私が中学生の頃。セーラー服姿で、大事そうに胸に本を抱えている。毎日毎日読書に明け暮れていた頃だ。両脇には、お友達の美智子ちゃんと、幸枝ちゃんの仲良しトリオ。三人共、少し含み笑い。カメラを向けている人がおちゃらけて笑わせようとしている様だ。

 そして、もう一葉。二十歳を超えた頃の私と、大好きだったミニチュアダックスフントのルーキー。私はルーキーを抱えている。私とルーキーは、にこやかにカメラ目線で目をクリッと輝かせている。ルーキーもとっても嬉しそう。笑っているのがよくわかる。

 私は、とってもおばあちゃん子で、いつも私の側にはおばあちゃんがいてくれた。読書の楽しみ方を教えてくれたのも、おばあちゃんだった。
 美智子ちゃんと幸枝ちゃんは、大の犬好き。私がルーキーを飼うことになったきっかけは、この二人の影響だった。

 全てはとっても楽しくて……にこやかで……。
 でも、今。
 祖母も二人も、ルーキーもいない。

 だけど、あの頃の日々は、何の遜色もなく私の胸の中で輝いているよ。瞼を閉じれば、いつでも会えるもの。

 ありがとう、おばあちゃん。
 ありがとう、美智子ちゃん、幸枝ちゃん。
 そして、ありがとうね、ルーキー。


♯過ぎ去った日々

3/10/2023, 11:42:25 AM