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おじいさまへ(テーマ 君は今)


 あなたは今、どこでどうしているのだろう。

 何年も前に亡くなってしまったお祖父様。

 この世のどこにもいなくなっているお祖父様。


 墓地の墓石の中にいるのだろうか。

 それなら、月に一回は墓地に行き、花を備えてお墓を掃除するだろう。

 そして、話せなくなったあなたの代わりに、色々あったことを話すだろう。


 家の仏壇の中にいるのだろうか。

 それなら毎日線香を上げて、あなたの安らぎになるならお経も覚えよう。


 天国とか浄土とかだろうか。

 それとも、最近流行りの異世界転生?

 あなたは真摯で真面目な人だった。

 あなたは明るく場を明るくできる人だった。

 そんなあなただから、天国でも異世界でも、きっとやっていけるとは思う。

 元気でいればいいけれど。

 ………


 それとも。


 どこにもいないのでしょうか。


 バラバラになって水や風に漂ったり、何かを構成する一部になっているのでしょうか。


 そして、私の知る、あなたをあなた足らしめる魂とでも言うべきものは、私の記憶の中にしか、頭の中にしかいないのでしょうか。


 どうかどこかで、続いていてほしい。

 たとえ、二度と会うことが叶わないとしても、私を優しく育ててくれたあなたが、ただいなくなり、消えてしまうなんて、考えたくない。

 それが死というものだと、多くの人は言うけれど、皆はなぜそれに耐えられるのか。

 私を愛してくれた人も、私自身も、周囲の人は皆、100年も経てばバラバラになって消えてしまうなんて。

 この世界はあまりに辛い。


 だから、今日も私は仏壇に手を合わせて、『そちらはどうですか』と心の中で問いかけるのです。

 例え返事がないとしても。


2/27/2024, 2:17:28 PM