望月

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《寂しさ》

 寂しい。
 そう口にすることの重さは、誰にわかるのだろう。
「……あぁ、うん。そっか、ありがとう。そうだったね、あはは……」
 確認事項でしか会話をしないクラスメイト。
「へぇ〜そうなんだ、おお、うんうん、はぁ、なるほど?」
 相槌だけを打つ僕に、延々と喋りかけてくる友達。
「こんな面白いことがあって、それで、こうで、楽しかったんだよ……」
 短い返事と目の合わない家族。
 みんな、こう思うだろう。
 僕の見方が穿っているのだ、と。
 寂しいと言いたいがための自己憐憫だろう、と。
 だけど、そうじゃないんだ。
「……ねぇ、どうして? 僕は、ただ笑って誰かといたいだけなのに」
 話していても、心の隙間が埋まらない。
 目が合っているのに、相手の心がわからない。
 そこに居てくれているのに、心が冷えたままで。
 誰もいないわけじゃないのに。
「……それで、満足だよな」
 どうしてか、心が寒いままなんだ。
 そう思ってしまって、ごめんなさい。
 酷い考えしかできなくて、ごめんなさい。
「……こんな自分は」
 いなくなってほしいのに。
 でもきっと、いなくなってしまえば、僕は寂しくて仕方がなくなってしまうのだろう。
 途方に暮れたって、しょうがないのに。
 どこにも行けない僕は。
 どこにも癒されない僕は。
 ずっと、独りで寂しいと、乾いた瞳で立っている。

12/19/2024, 3:21:09 PM