「部屋の片隅で」
父と母はいつも姉にだけ優しくしていた。私は、それを部屋の片隅でじっと見ることしかできなかった。時折、父と母は私と目が合うことがあったが、それは私への愛情からではなかった。なぜなら、両親はすぐに怯えた顔をして目をそらしていたから。私は子供ながらに、それが私への愛がないということを理解していた。
思い返せば、私が小さな頃は、まだ父と母と姉と私の4人で楽しく遊んでいた記憶がある。私が小学校を入学したぐらいからだろうか。姉が私のことを避けるようになった。それから父と母も、私に話しかけなくなった。私は嫌われるようなことをした覚えはなかった。
なんで私だけこんな扱いなの?
私も姉のように愛されたい
私が愛されないのは、姉が居るせいだ
いつからか、私の中では姉への憎悪が生まれ、居なくなって欲しいと強く願うようになった。
「お姉ちゃんなんか大嫌い、消えちゃえばいいのに」
私は、部屋の片隅でうつむきながら小さく呟いた。
カチカチ、カチカチ。
突然部屋の電球が点滅し始めた。それと同時に、父と母と姉が怯えた顔で私を見てきた。
「んぐ、ぐああああ、くる、しい。助け、て。」
突然苦しみ出す姉。息ができないのか、自分の手で首を掴み、目は飛び出そうなくらい不気味に見開いている。まるで陸に上げられた魚のように、床の上をじたばたとしている姉に、父と母は泣き叫ぶことしかできなかった。
12/8/2024, 5:40:21 AM