名前の無い音

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『自由』


ねぇ
見てよ 凄くいい天気
青空が綺麗よ?

ちょっと ねぇ
嫌なのよ わたし

嫌すぎて 笑っちゃうのよ

狭い部屋に あなたとわたし
息がつまるのよ

あなたなんか どうにでもなってよ
わたしは 自由に 生きていたいのよ

こんなところで
毎日 あなたの顔色をうかがって
ご機嫌を取って
そんな風に 生きていくのは
もう 嫌なのよ

私を 自由にしてよ
お願いよ 自由に してよ………



* * * * * *

「にゃぁぁぁ~!!」
「も~ なに~?今日はやけにうるさいなぁ」

窓辺で カーテンをひっかく愛猫を抱き寄せる
未練がましく まだ窓の外を眺めている

「お外には 出さないよ」
「にゃぁぁ~ぉ」
「外は いけません」
「……ゃ」

……………
今 なんとなく 睨まれた気がする

優しく頭を撫でながら
窓辺から離れる
腕の中から するりと猫は飛び降りた

そして また窓辺に向かい
じっと外を見ている


あぁ
本当の幸せって
どれなのかな
本当の自由って
何なのかな


私は そっとそばを離れて
おやつの袋に手をのばす

「にゃぁぁぁ~!」

その音を聞きつけて
足元にすり寄ってきた

「世渡り上手の甘え上手」


猫は かわいい
何を考えているか
わからないから かわいいのかもしれない

私はそっと 彼女の頭を撫でた

6/5/2022, 12:30:02 AM