眠り子

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さよならは言わないで

魔法界から修行にやってきた魔法使い見習いのあの子との出会いは突然だった。

最初は戸惑った。だって魔法使いは本当にいるとは思わなかったから。私の家族もびっくりしたことを昨日のように覚えている。
魔法を見て目を輝かせた私を、あの子は微笑んで見つめていた。
戸惑いながら一緒に暮らし始めた春、花火や海と思い出を作った夏、美しい景色を観に周った秋、将来の夢をたくさん語り合った冬、数えきれない思い出ができた。

出会ってそろそろ1年が経つ頃、私はあの子から修行が終わったから魔法界に帰らなければいけないと言われた。
わかっていた。あの子はいつか帰る日が来ることは覚悟はしていた。それでも…
やっぱり別れは辛い。その晩、お別れは嫌だと一緒に泣いた。  

どうかお願い、さよならは言わないで。
私のかけがえのない人。


12/3/2023, 1:43:31 PM