LINEの通知音が鳴った。
ちょうど課題が一段落したところだったので、私はうんと伸びをしてからスマートフォンを手に取りメッセージを確かめる。
「……わ」
送られてきた画像をタップすると、咲いたばかりの一輪の薔薇が雨露を浴びて写っていた。
画像の下に、ポコポコとメッセージが増えていく。
『咲いたぞ、お嬢の好きな花』
『オレンジのやつだぞ』
『はやく見にこいよ』
『忙しいか?ならあとでも良いぞ』
あまりの微笑ましさに思わずふきだしてしまった。
少し前から彼が庭師のおじさんに園芸を習っていると聞いてはいたけど、お花が咲いただけでこんな風にはしゃぐだなんて。ちょっと可愛い。
『とても綺麗ね。すぐに行くわ。』
私は教科書とノートを揃えて棚に仕舞うと、彼の待っている庭へ向かうべく軽い足取りで部屋を出た。
7/12/2024, 6:33:42 AM