近づいては離れて、離れては近づいて。
二人の関係はまるでそんな感じだった。
きっとこの繋がりも、いつか薄くなって、
いつもと同じリズムで離れた拍子に、
途切れてしまうと、知っていた。
あなたは有名人になった。
私との関わりはもう無くなっていた。
あなたを好きな女の子がたくさんいて
私よりもかわいい女の子たちが、君を好きだと
発信しているのもいっぱい見た。
でも、ある日あなたからDMが来た。
もう近づかないと思っていたのに。
あなたからのたった一言で舞い上がって
すぐに返したメッセージがまた二人の線を近づけた。
私からは何も出来ない。
ただ、あなたの連絡を待つだけ。
メッセージが来たらそれに従って、
あなたの家であなたに会う。
あなたの家は行くたびに他の女の子たちの香りがする。
甘くて、きつくて、若い、そんな香りが。
私はその香りの中であなたと過ごす。
近づいては離れて
急に連絡が途絶えて、不安になって、
メッセージを送る。既読が付かなくて、
もっと不安になるの繰り返し。
その後で、あなたが笑いながら
ごめんごめん最近忙しかったんだよね、と
嘘を付く。私も笑いながら、
そっか、忙しかったのならしょうがないね、と
嘘を付く。
そしてあなたの家で何日か過ごすのだ。
離れては近づいた
きっと彼も年上の女とだらだら付き合いは
しないだろう。
だからいつかは、はなればなれになってしまう。
分かっている。
分かっているけど、
いつか線が途切れるその日まで、
線が途切れたその後も、
電話番号もSNSのアカウントも変えないまま
ずっとあなたを待っている。
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「離れられない」
はなればなれ
11/17/2023, 9:10:44 AM