《巡り逢うその先に》
第2章 11
主な登場人物
金城小夜子
(きんじょうさよこ)
玲央 (れお)
真央 (まお)
綾乃 (母 あやの)
椎名友子 (しいなともこ)
若宮園子 (わかみやそのこ)
大吉 (だいきち)
東山純 (ひがしやまじゅん)
向井加寿磨 (むかいかずま)
ユカリ (母)
秀一 (義父)
桜井華 (さくらいはな)
大樹 (父 たいじゅ)
高峰桔梗(たかみねききょう)
樹 (いつき)
葛城晴美 (かつらぎはるみ)
柳田剛志 (やなぎだたかし)
桜井大樹(さくらいたいじゅ)
横山雅 (よこやまみやび)
京町琴美(きょうまちことみ)
倉敷響 (くらしきひびき)
葛城晴美 (かつらぎはるみ)
犬塚刑事 (いぬづか)
足立 (あだち)
黒鉄銀次 (くろがねぎんじ)
「待ちなさい、どうして逃げるんですか?」
「そりゃお巡りさんに追いかけられたら逃げるでしょ」
「ちょっと聞きたいことがあるだけだから、止まりにさい」
桜井華と高峰桔梗は男を追いかけていた。
そこに、白バイに乗った葛城晴美が通りかかった。
「晴美、アイツを止めて」
「OK」
晴美は先回りをして男をぶっ飛ばした。
「晴美、やりすぎよ」
「だってコイツなんかやらかして逃げてたんじゃないんですか?」
「違うはよ、ちょっと話しを聞きたかっただけよ」
「えー、やだー、チンピラ君ゴメンね」
「酷いですよ、いきなり殴るなんて!」
「だからゴメンって謝ってるじゃない。ダメなの?ねぇ、おい。やんのかコラ!」
「いえ、あの、お気になさらずにすみません」
「それならいい」
ひと段落したところで、華が話し出した。
「済んだか?なら、本題に入るが、お前海江田だな?」
「ああ」
「最近多発している自転車業界を狙った詐欺事件に付いて何か知らないか?」
男の顔付きが変わった。
「知らねーな」
「本当に知らないのか?」
「ああ」
「じゃあ、黒鉄銀次は知っているか?」
途端に男の顔から血の気が引いていった。
「し、知らない。俺は何も知らない」
「ウソをつくな、知ってるって顔に書いてあるぞ」
「言わないなら、もう一発いっとくか?」と、晴美が凄む。
「ひー、勘弁してくれ。言ったら半殺しにされちまうよ」
「話してくれれば、もうお前の前には現れない。今日のことは、誰にも見られていない。バレはしない、大丈夫だ」
海江田はしばらく考えてからうなづきた。
「わかった話すよ。正直そろそろ足を洗いたいと思っていたんだ。
あんたの言う通り自転車業界を狙った詐欺事件の黒幕は黒鉄銀次さんだ。5人がカモられたよ」
「それを裏付ける証拠は何かないか?」
「その証拠を俺は持ってない。詐欺で捕まえたって、懲役数年ってところだろ。俺は銀次さんを死刑にできる証拠を持ってるぜ」
「なんだって、それはいったいなんだ?」
「確実に捕まえてくれるかい。万が一取り逃がしたら、俺の身が危なくなる。約束できるかい?」
「約束する。私は黒鉄銀次を捕まえるために刑事になったんだ」
「ほうそうかい。訳ありとようだな、わかったよあんたに託すぜ。
俺が持っているのは14年前の警察官殺しに使った凶器のナイフだ」
「なんだって、なぜお前がそんなものを持っているんだ」
「あの頃、俺は銀次さんのパシリだったんだ。処分するように言われたんだが、憧れの銀次さんがカッコよくてジップロックに入れて毎日眺めてたんだ。だが、最近の銀次さんは人を騙して喜んでる。なんか中学生のガキみたいでダサくってよ。熱が冷めちまったんだよ。明日の夜11時にここに来な、そん時渡す」
「わかった。必ず刑務所にぶち込んでやる」
「華さん、良かったですね。これでやっとお父さんのカタキが取れますね」
「ああ、そして桔梗のご両親殺害の関与も暴かなければな」
だが、次の日約束の時間になっても海江田は現れなかった。
それどころか、翌朝刺殺体として発見された。
つづく
7/28/2024, 10:11:45 AM