日々家

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現実逃避

――朝焼けの空を眺め、波の音を聞きながら、好きな人と手を繋いで歩きたい。

しかし、その肝心の好きな人の顔は未だぼやけている。  
都合良く好きになってはもらえないし、仮に好意を向けられたとしても、私自身が相手を好きでなければ意味がない。
だから今は、ぼやけた顔の“好きな人”に付き合ってもらう事にした。
頭の中くらいは、ドラマチックな世界でも良いでしょう?

私は溜め息を吐いて黒板の文字を書き写し、“私の春はまだまだ先だなあ……。”なんて思いながら、外の満開の桜の木を羨ましく感じた。

                        日々家

2/27/2024, 11:08:05 AM