—最期の決別—
車のドアを開けて外に出ると、秋の夜気がひやりと頬を撫でる。枯れ葉を踏む音と虫の鳴き声が響く、山の中に着いた。
「よし……」
ここ数年は、生きる事に嫌気がさしていた。だから逃げる事に決めたのだ。家から三時間かかるこの山には、誰もいないし私の事を見ている人もいない。
ここで終わりにしようと思う。
助手席で、旦那は眠っている。
ドアを開けて、身体を引き摺り出す。枯れ葉の上に放り投げ、周りの枯れ葉を彼の上に被せた。
「さようなら」
ポケットに入れていた、ライターで火をつけた。急いで車に戻り、アクセルを踏む。バックミラーの中で、夜の闇に立ち上がる炎が揺れている。
これでお仕舞いだ。
私の口角は、自然と釣り上がっていた。
お題:燃える葉
10/7/2025, 6:16:51 AM