筋道と諦め(テーマ 不条理)
シンプルな結論が先にあり、言い訳は後で創作される。
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新人の時つらいと言った。異動を求めた
「今の仕事ができるようにならなければ、よそでもできないよ」
そうか、と思い歯を食いしばった
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土日出勤と時間外で仕事ができるようになり、何年も同じ仕事しかできないことをつらいと言った。
「君にしかできない仕事なんだから、申し訳ないがしばらく頑張ってくれ」
職場が大変なことはわかっていたので、我慢した。
しかし、自分よりも大変な人は管理職ばかりなので、定時に帰って遊びに行く同期を見ると、嫌な気分になった。
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年齢が上がり、無理がきかなくなってきた。
同期は結婚して子育てしている。
体力的に持たないので異動させてくれと言った。
「そんなことを言って、できてるじゃないか。職場の状態的に今そんなことはできない」
職場の状態はもうずっと変わっていない。
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このペースの仕事はできないので、降格願いを出す。
上司が預かってそれっきりだった。
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もう同じことをして15年になる。
他の部署の仕事はよくわからないまま、歳だけ取った。
人事に言っても取り合ってもらえない。
「あなたは他の経験がない。その年齢で他部署に行ってもできることはない。」
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人事では、陰口が叩かれる。
「あの人は同じ部署しかやっていないから、今更他の部署は受け入れたくないってさ。残業や休日出勤も多いし、扱いに困る人だよね。」
「15年も同じ部署だから、もう神様だよ。誰も反論できないの。空気も悪いし、辞めてもらえないかな。」
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言葉が変わるばかりで、消耗品にされていただけだった。
言葉はコロコロ変わって筋道が立たず、不条理である。
言葉は信用できない。人は信用できない。
他人は利用し、うまく立ち回るべきだったのだ。
我慢して都合のいい人になるなど、食い物にされるだけだったのだ。
そう。
食い物。
別にこれで誰かが大金を得たわけではない。
周囲の人が引くはずの貧乏くじを引き続け、自分が人生を仕事に消費している間に、周囲の人はそれなりに苦労して、それなりに遊んで、結婚して、子育てしていた。
その間、こちらはずっと仕事をしていた。
周囲に少しずつ食い物にされる人生。
周囲の口から出る言葉は不条理でその場限りのものばかり。
しかし、行動を見れば明らかだった。
人事を固定し、同じことを、ただ会社として必要なことをやらせる。
人は増やさず、ただ搾取する。
そこには「何とかうまく会社を回そう」という会社の条理と、「私はやりたくない、絶対に嫌だ」という周囲の社員の条理があった。
言葉ではなく行動を見て、こちらもさっさと行動すべきだったのだろう。
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仕事ができない?
そんなの知ったことか。
仕事なんて適当にするさ。
真面目にやってもバカを見る。
他の誰かがやるだろうさ。
私が15年もやったように。
誰かがやってくれることを期待して、私は程々にするさ。
問題が起こったら上がなんとかするだろう。
そのための上だ。
ほら、真面目そうな新人が来たぞ。
しっかり仕事を教えて、バリバリ働いてもらおうじゃないか。
3/18/2024, 10:27:52 PM