手紙の行方を知らなくたって、ポストに投函すれば届いてしまう。
郵便番号、住所、氏名……様。
すなわち情報なのである。
投函者が誰でもよいことになっている。
切手を貼ってさえすれば、自動的に届く仕組みになっている。
つまり、たとえぱ送り主や受け取り主がこの世にいなくたって、住所氏名が書かれていれば、それで問題ない。
そう考えると、物の流れとして物流がある。
今、まさにこの瞬間にも、モノは流れている。
絶えず流れている。絶えず泣かれている。
トラックは高速道路に拘束され、運転手もまた眠たげの目をこすっている。
時間外労働がひどいと聞く。インフラを支えるエッセンシャルワーカーとしてコロナ禍で一時期取り沙汰されたが、数多の炎上により既に忘れ去られている。
あと十数年もすれば、自動運転が本格的に研究予定である。そうなると、陸送にこだわる必要があるだろうか。
物流とは、陸・海・空とジャンル分けされている。
一瞬自衛隊を想起したが、辞めておくことにする。そんな大層なイデオロギーはないだろう。
トラックや宅配便の陸送。船の海送(海上輸送)。飛行機での空輸……どれも必要不可欠な代物。どれが止まっても、回遊魚のように循環し続けなければならない。
手紙の行方。
人間の手を離れた文字列。
人口に膾炙する。梱包されて、人の手を離れる。
その時入れられた変数の型は何?
String? Variant?
よく知らない。何でも良いのかもしれない。届きさえすれば。
せめてもの償いで、母なる海の水により、いつか溶けてしまえばよいとも考えているが、マイクロプラスチックのような微細な砂粒でできた砂時計がひっくり返る。伝わった? 表と裏。建前と本音。
カードのようだ。将棋のようだ。
表か裏か。どちらなのか。
考えるには、時間制限がある。
運送人には時間制限の病に侵されており、ストレスで死んでしまいそうだ。だから、勝手に手紙は慮る。ポストに入れなくたって届きさえすれば良い。世界に渡る風は吹き、風に服従した郵便物は郵便を越え、海を越え、国境を越え。
どこかのCMで見た覚え。
空を見上げば、自由の翼を手に入れた、行方の知らない手紙のような。聖和の象徴的存在、ハトのように。
2/19/2025, 9:58:35 AM