山百合

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・5『日差し』

稲光を確かに感じたのに次の瞬間には夏の日差しに戻っていた。急に怖くなった私は廊下で腰を抜かしてしまった。

家主は落ち着いた声で
「貴方はまだ若い。なのに欲がないんだねぇ」と言う

振り返って男を見上げるとさっきより溌剌としているように見える。声もハリがある。

座り込んでしまった自分がひどく情けなく感じる。と、同時にさっきまでペンを握っていた老人をただの変人だと、痴呆も入ってるかもしれないと思い込み礼儀を欠いていたのではないか?という気がしていた。

自分を天気を操れる神様だと言った男を
私は下に見ていたのだ。

【続く】

7/2/2024, 2:35:34 PM