私はいじめを受けている。きっかけが何だったのかは今となってはもう思い出すことはできない。といっても、誰かを助けてその代わりになどという殊勝な心掛けからくるようなものではなく、なんかムカつくというような些細なことからであろう。たったそれだけの理由でこれだけ長い期間飽きもせずいじめを続けることができるものだなと感心すらしたこともある。それも直接手を出してくることはほとんどなく、私が席を離れている間に持ち物を荒らすという陰湿なやり方で。
彼らの誤算といえば、私がこの手のものを気にしないたちの人間であったことだろう。過去にもっと酷いことを受けていたおかげで感覚が少々マヒしてしまっているという何とも悲しい理由ではあるのだが。このままではきっと明日も明後日もその先もずっと続くことになるのだろう。
とはいえ、彼らは禁忌を犯してしまった。物を隠したり散乱させたりといったことでは、ただただ手間が増えるだけなためスルーしていたのだが、先日彼らは財布から現金を盗んだのだ。いじめが始まったときからいつかこうなることを予見して毎日財布の中身を確認する癖をつけておいたことが功を奏した。何も言ってこない私に対して油断したのか彼らはその後も数回にわたって繰り返した。私に決定的な証拠を握らせているとも知らずに。これらの証拠はついさっき警察に渡してしまった。彼らは思っていることだろう。「きっと明日もいつも通りの毎日だ。」と。そんな彼らの顔が絶望に染まる瞬間が今から楽しみで仕方がない。
10/1/2024, 2:57:59 AM