駒月

Open App

 クリスマスまでには絶対に彼氏が欲しい!と思っていたけど、友達も私もなかなかに厳しい戦いをしている。
 そう簡単に彼氏なんかできないって。言っちゃったら夢がないから言わないよ。思うだけ。

 さて、朝は気になる大人の彼を待ち伏せしている私だけど、帰りもバッチリやってるんだな、実は。
 部活をしたあと友達と喋ったりして遅くなると、たまに早上がりの彼と会える時がある。むしろそれを狙ってやっている。

「お疲れ様!」
「……警察を呼ぶぞ」

 今日も冷たい視線にぞくぞくする。
 って、違う、そうじゃない!やっぱりストーカー扱いされてる!
 いや、やってることはそうかもしれないけど。女子高生ですよ?ちょっとは嬉しくないのかな?

「暗いから子供は早く帰れ」
「あっ、イルミネーション!」

 彼の言葉に被せてイルミネーションを発見、指を差した。駅近くの広場に大きなツリーがある。LEDライトが幻想的で、寒いけど冬はこれがあるからいいんだよね。
 恋人同士じゃないのに一緒に見られて幸せだなぁ、と思ったら笑っていた。

「んふふ」

 彼がドン引きしているのが見えたけど、別にいいや。

「また来年も一緒に見たいね!」

 ハァ、と溜め息をついて頭を掻く彼。困っている顔もかっこよくて大好き。
 その隣は今年も来年も、誰にも譲らないんだから。



【イルミネーション】

12/14/2023, 11:44:34 AM