素足のままで
素足でいるのが好きだ。
フローリングの冷たさや、絨毯のやわらかな感触が、足の裏から直接伝わってくる。
スリッパは足の間に一枚、無意味な境界線をつくる。
家の中にいるときは、世界を隔てる壁なんていらない。
足の裏で、全部感じていたい。
クロもいつも素足だ。
肉球で床を踏みしめている。
裸足のまま、世界の匂いを嗅いで、
裸足のまま、私の足元に丸まって眠る。
彼はきっと、
世界をそのまま感じることの、
美しさを知っているのだろう。
だから僕も、
できる限り裸足でいたいと思う。
できる限り、そのままの世界に触れていたい。
冷たい床も、温かい日差しも、
素足で感じるだけで、それは「いま」になる。
それは、クロが教えてくれた、とても単純な真実だ。
8/26/2025, 2:27:31 PM