郡司

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今日がひな祭りだということを忘れていた。お隣のおばあちゃんから「今日はひな祭りだから」と、お赤飯を頂くまで。まあっ、ありがとうございます、と受け取りながら頭の隅っこで財布の中と時間を勘案する。ヤバい、何も準備してない。私は日が暮れてから、慌てて買い物に走った。

ひな祭りはよく知られた節句だから(…だよね?)、明日子どもが学校から帰って来てからぶーたれられると困る。

お雛様に厄を祓ってもらい、人生の幸福を祈る。現代のひな祭りは、ふんわりとそんな感じか。伝統に則ってしっかりと「桃の節句」を行われるおうちもあろう。そういう場所には特有の清々しさがあるような気がする。そして、そのようなおうちの女性たちは、すごくしっかりしている印象がある。

今の時勢にひな祭りの意義はどうなんだ、という向きもあるかもしれないが、つまるところ、「どうか幸せであるように」というシンプルなねがいが核心だ。子ども時代の思い出にも何か良いものが残るかもしれないし、彩りのある記憶はほんの少しと言えど心の力になるかもしれない。

えっ、それでお前んちのひな祭りはどうしたんだと?
お隣のおばあちゃんから頂いたお赤飯、バラ刺身でちらし寿司、ホタルイカの酢味噌和え、はま吸い、苺…で何とかなった。最近のスーパーの工夫には頭が下がる。ちらし寿司用のカット刺身セットや、ボイル済みホタルイカ。いちばん手のかかる工程や下処理をかなり減らせる仕様で並べてくれているのだ。そのぶん値段が上がるのでいつもこのテが使えるわけじゃないが、ともあれ今日は助かった。感謝だ。

3/3/2024, 1:13:39 PM