目に見えない愛というものが、もし可視化することが出来るのなら。
「そんなら、話。分かりやすいんちゃいますの」
本に顔を向けたまま、私の話に耳を傾けているらしい彼はぽつりと呟いた。
「分かりやすい?」
「だって、そうでしょ。よく漫画とかアニメとかでもあるやん。ちっさいハートやおっきいハートが飛び交ったりいやデカすぎやろみたいなやつ」
「それ漫画とかアニメとかであるかな?二次創作とかではよく見るけど」
「じゃあそれ」
雑。
「見たい?」
「何が?」
「僕の愛」
彼は本から、ゆるりと顔を向ける。それから私の返事も待たず、いいよ、と口にした。
「どれくらい君に愛注いでるか、目にしてみた方がええと思いますけど」
目が。目だけが、笑っている。
私は挑戦的なその言葉に、ただ一言だけ。
見えたらね。
と。
そう返したのだった。
/愛を注いで
12/14/2024, 7:26:48 AM