鏡が1面割れた。
僕を囲む四面の大きな鏡。そこに僕は写っていない。映るのはどこかの景気。今映っていたのは白い景色。天から白が舞い降りて山や街を支配しようとする。そんな景色だった。
鏡が1面割れた。
ヒビが入ってだんだんと崩れていった。1面が崩れると他の鏡にも景色が映らなくなる。そして、ここから開放されるには今鏡が1面無くなったこの瞬間だけだ。またすぐに新しい鏡ができて新しい景色を映し出す。だが、僕はここからずっと逃げないでいる。
鏡が割れるとそこから光が指す。まるで天国への道しるべのように。きっとその光を追えば天へとたどり着くのだろう。だが、行かない。
天への道しるべの光は鏡に反射して僕は焼ける程の熱を感じる。そして鏡が再生して次の景色を映し出す。僕はこの時が愉快でたまらないのだ。
1/5/2023, 6:39:44 PM