Ayumu

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 ねえ、待ってよ。
 もう少し、歩くスピードを緩めてよ。ううん、いっそ止まってよ。

 私、出会ったときからあなたのこと好きだったんだよ。
 年の差のせいで妹ポジションのまま動かないって何度もあなたから現実を突きつけられてきたけど、未来はわからないって、願い続ければいつか絶対叶う、叶えてみせるって自分を励まして、今まで進み続けてきたんだよ。

 私の好きって言葉に、変わらない笑顔を向けてくれていたけど、実は少しでも動揺してくれたかなって期待して。
 彼女ができたと知ったら、毎日「別れますように」「私が一番あなたにふさわしい相手だよ」って祈り続けて。
 もちろん彼に会うたび、私を一人の女として見てもらえるように努力して。
 エトセトラ、エトセトラ。
 私が思いつく限りの手を尽くしてきたつもりだった。

 ねえ、私、あなたしか知らないの。
 あなた以外の素敵な人、一生を添い遂げたい人、知らないの。
 脇目もふらずに、あなたを追いかけ続けたんだよ。

 私以外の人と結婚間近なんてうそでしょう?
 いつの間に、そんな相手を。

 すぐに、あなたの目を醒ましてあげるから。
 だから、私が追いつくまで待っていて。
 置いて、いかないで。


お題:行かないで

10/24/2023, 3:41:40 PM