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裏返し
ねえ、お願い!気づいて!
お願いだから……気づい、て……
今にも涙が零れそうだった。
辛い、しんどい。
だから私は、
とびきりの笑顔を、出せるだけの元気を、ふるまった。
大はしゃぎして、
まるで、
なにも心配事などございません!
今日もとっても楽しくて幸せで元気です!
と主張するように動いた。
なんだろう、この矛盾は。
気づいてほしいのに、
気づかれたくないかのようにしてしまう。

そういえば、嬉しいときもそうだった。
やはり、泣き出したいほど嬉しかった。
ぴょんぴょんジャンプして、
笑って、大はしゃぎして、
誰かにわざわざ報告とか、自慢とか、したくなるほど
嬉しかった。
……でも、その時私がしたのは静かに頷いただけ。
俯いて黙っていた。
本当は、全身がはちきれそうなほど嬉しかったのに。

いつも、感情が大きくでた時は裏返しだ。
大きくでなければ、普通くらいなら
正しく表現できてるのに。
誰か、裏面も見て。
見てほしくないふりしてるけど、見て。

ちなみに、
ちゃんと正しく最大限にどうしても出てしまう顔は、
おいしい……!幸せ……!
という、食べ物の幸せだ。
案外、変わってしまっただけで、
今も本当に素直なのかもしれない。
その証拠に、本当にワクワクしている時は
目が、輝いているらしいから。
裏返しがなくなる日も案外近いのかもしれない。

8/22/2024, 3:05:50 PM