池上さゆり

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 いつもの帰り道。音楽を脳内に流し込みながらぼんやりと歩いていた。
 すると、途中でなにかコロコロとしたものを踏んだ感触があって下を見る。転がっていたのはたくさんの銀杏だった。意識すると、この辺りだけ銀杏くさい。そっと踏まないように、避けながら歩いた。
 そうか、もう銀杏が落ちる季節なのだ。まだ、夏のような暑さが残っているのに、順番に季節は巡ってくる。秋の訪れも早いものだ。
 そういえば学校の課題に俳句を一句書いてくるというものがあったなと思い出す。せっかくだからモチーフを銀杏にしようと決めたが、続きが思い浮かばない。
 コロコロ、オレンジ、匂い、いろんなものを連想していく。
 通り抜けた道を振り返る。そこでなんとなくイメージが固まった。

「オレンジの 斑点模様 銀杏降る」

 学校での評価関係なく、今の俳句を気に入った。踏み潰されて、歩道にできたオレンジ色の斑点模様。それでも降り続ける銀杏に秋が始まったのだと感じさせるような一句にしたつもりだ。
 明日、提出するのが楽しみだ。誰かに聞いてほしいと思うほど、自信に満ちていた。

9/26/2023, 11:06:24 AM