フグ田ナマガツオ

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未来のことなんて本当は考えたくもないのだけれど、そうすると、きちんと先を見ている人達に遅れちゃうから仕方がない。
スマホのカレンダーアプリに入力した予定を眺めて、私はため息をついた。バイトと大学、車校と資格の勉強。つまらない予定ほど時間を多く占有する。9月に一つだけ入っていた楽しみな予定は宛が外れてキャンセルとなった。
満員電車の中にいるような閉塞感にウンザリして外に出た。全部サボってしまおうと思った。キャンパスを貫通して、ズンズン歩く。スニーカーは最近買い換えたから、まだ感触が硬い。
とにかく行ったことのない場所に行きたかった。キャンパスからしばらく行くと、久佐根山がある。長めの石段を登れば広場があって、その先に小さい神社があることは知っている。
御参りをするつもりもないけれど、何となく行ってみようと思った。
自分の体力のなさを勘定に入れてなかったことを後悔しながら登り、広場に着いた頃にはヘトヘトだった。肉体的な疲労が思考を占有して、少しマシな気分になった。
折角来たし、お賽銭くらい入れておこうかな。そう思って、自分が何も持ってきていないことに気づく。
そういえば鍵すらかけたか怪しいな。盗まれるほどのものもないし、いいか。賽銭がないくらいで災いを寄越すほど神様の度量も狭くはないだろう。

9/11/2023, 3:03:22 PM