クリスマスの日に、わたしたち3人は集まっていた。宝物を見せ合おうって誰が言い出したのか。
美春は、リングを持ってきていた。ファッションのブランドメーカーのものだ。
沙恵は、私たちに写真を見せた。そこには何十冊ものノートが写っていた。「これさ、受験の時に勉強したやつ。捨てれんのよ」。
あんたは? とさいごにわたしの番だった。
わたしは立ち上がった。にこり、と2人に笑いかけてみる。
「はあ?」
美春は、テーブルの上に置いていたリングをバックに片付けながら、不審な声をあげる。
「わからないかな」
わたしは吹き出しそうになった。
「まさか、あんた」
沙恵の顔が真っ赤だ。
「そう! わたしの宝物はわたしよ!!」
その日以来、わたしのあだ名はナルシスになった。
ええ? 自分を好きになって自分を大切にするの重要なことじゃない? ただ、2人は、この日、「あんたの勝ちだわ」と、兜を脱いだのは確か。それは、呆れたという感じではなかったと思うけど。そして、ケーキの配分を大きくしてくれた。そ、それは、嬉しいような、いらないような。
11/20/2024, 4:34:55 PM