まにこ

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俺はただ、もう一度お前と話がしたかった。
墓場で酒盛りして、馬鹿なネタで笑い合いたかっただけなんだ。
その時にはお前や奥さん、赤ん坊もいるだろうし、それをただただ少し遠くで優しく見ていたかった。
こういうのをきっと、人は幸せと云うのだろう。
「これ、逃げるでない」
伸ばした手は無理矢理布団へと引き戻される。
強かに打ち付けられた腰、度を超えた快楽が一気に脳天へと突き刺さったみたいだ。
金魚みたいにはくはくと口を開くことしかできない俺を見て、お前の目は三日月に細まる。
現実はあまりにも非情だ。
「逃がさぬよ」
嗚呼そうか。
これは俺への罰なのだ。
俺なんかが少しばかりの幸せを願ってしまったから、天罰が与えられた。
そうでないと、優しかったお前がこんなにも変わるなんておかしいだろう、なァ友よ。

3/29/2025, 6:17:44 AM