「あっっづい!!!」
「猛暑日に 反比例する 草と腰」
「雑草は伸びるけど腰は草刈りのために曲がるってか!やかましいわ!!!」
せっかく詠んだ句も彼女の前では凡庸らしい。それでも解説はしてくれるのは優しい。
「草を放って びっしり生えて バッタとトカゲが 大発生」
「都々逸でお茶濁そうとすんな!!」
あー、と彼女は声を上げて腰を伸ばす。暑いのに長袖長ズボンを着ている姿は尚更暑そうだ。
「あつい!!!」
気合を込めて叫ぶ彼女が、とても可愛く感じた。
「終わったらアイス食べよう。ポッキンアイス」
「チューペットでしょ」
「パピコもあるよ」
「似てるけど別物。パピコにしよう」
汗をぐいと拭うと、また目の前の草を刈る作業に戻る。
草から夏を濃縮した匂いがした。
【夏草】
8/29/2025, 8:36:16 AM