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 空を見上げると、月が出ていた。
 まだ太陽の出ている時間なので、お供の星はいない。
 そして太陽は雲に隠れて、お月様は一人ぼっちだ

 だが、そんな事を気にしていないかのように、月は明るく輝いている。
 寂しくないのだろうか。

 俺は寂しい。
 仲の良い友人が、海外に引っ越したのだ。
 いつも当たり前のように隣りにいたアイツがいないと、どこか物足りない。
 親はラインができるでしょと言うけれど、寂しいものは寂しいのだ。

 空を眺めていると、スマホが振動した。
 見ると、海外に引っ越した友人からのメッセージが写真付きで送られてくる。
『見ろよ。月が綺麗だ』
 写真は星と一緒にいる月が写っていた。

 思わず笑ってしまう。
 こんなに離れているのに、同じ月を見ているとは。

 スマホで月を撮って友人に送る。
 すぐに返信が返ってきた。
『日本の月はいいなあ』
 よく言うよ、違いなんてわからないくせに。
 外国に行っても、アイツは変わらないらしい。

 気づけばさっきほど寂しくなかった。
 多分、場所は違っても、同じものを見ていることが分かって安心したんだ。

 俺達は同じ大空の下にいる。
 その当たり前の事が、俺は一人ぼっちじゃないという事を教えてくれる。

 太陽が雲からひょっこり顔を出して、まるで俺の心の中のように、周囲を明るく照らしていくのだった。

12/22/2023, 9:50:45 AM