ミミッキュ

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"澄んだ瞳"

お互いが休日の今日、2人で近くの水族館に来て少し見て回った後、水族館に常設されているカフェで一休みしていた。アイスコーヒーを口にしながら大我を見る。大我もアイスコーヒーを飲んでいて、自分とほぼ同じタイミングでグラスをテーブルに置く。
ふと大我の目を見る。大我の目は大きくどの角度から見ても光が宿っていてキラキラと瞬いていて、その奥の瞳も澄んでいて、瞳からも「何事も見逃さない」という強い意志の光を放っている。まるで光を一心に浴び吸い込んで、自身の美しさに揺らがず輝く宝石の様。そんな目で射抜かれると、あまりの輝きに見蕩れるのと同時に全てを見通してしまいそうな澄んだ瞳の眼光に物理的に目を逸らす事が出来ない。
そんな目を持った本人は今、透き通った淡い青色の光を宿した穏やかな目で、セットで頼んだティラミスを上品にフォークで切って掬い、口に運んで咀嚼している。
「…んだよ、人の顔ジロジロ見て。俺の顔に何か付いてんのか?」
こちらの視線に気付いて、目をこちらに向けてきた。恥ずかしそうに細められた目の奥の瞳は抗議の色を放っていた。
「いや、…美味しいか?」
「はぐらかそうとしやがって。…まぁ、悪かねぇよ。テメェが勧めてきたとこだし。」
「そうか。」
そういうと再びアイスコーヒーを啜り、再びフォークを手に持ってティラミスを頬張る。その瞳は「美味しい」と語っていた。彼の瞳の唯一の欠点と言えば、澄んでいるが故に口にせずとも目をよく見れば感情がある程度分かってしまう事。
──全く、いつになっても素直じゃないな。
そう思いながら、自身もセットで頼んだティラミスを頬張った。

7/30/2023, 10:53:57 AM