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当たり前、なんて案外高望みなのかもしれない。
隣で大粒の涙を溢れさせる君を見ながらふとそんな事を考えた。
いつも隣には僕が居るのに、君は僕のよく知らない人に恋をして、僕の気持ちなんて全く知らずにそれを打ち明けてきた。
その日から当たり前だと思っていた毎日が一変して、僕の心は何処かざわざわ、もやもやとしていた。
僕が君の特別だったら、今この時間も抱き締めて安心させられていただろうか。
君のその涙を生み出さずに済んだのだろうか。
無責任に大丈夫だと言って傷付ける事も無かったのだろうか。
全て彼のせいだと僕は言える立場に無い。
全て彼のお陰だと僕は言える立場に無い。
彼が君を振ってくれたから、僕はまた心を平穏に出来たなんて。
あぁなんて最低なのだろう。
なんて幸運なのだろう。
君には申し訳無いけれど、僕のこの席は誰にも渡したくないから。
この平穏を、当たり前を続けられるのなら僕は鬼にもなってやろう。

3/11/2024, 5:45:18 PM