鏡の中の自分
鏡の中に映るご自分の顔は笑っていますか。怒っていますか。ああ。あなたの顔が笑顔かどうかで決まると思っていますか。それは誤解です。
鏡は真実を映す物。あなたが笑っているからと言って、鏡の中のあなたも笑っているとは限らないこともあるのです。その笑顔は真実ですか。
時に雲外鏡なる物を知っていますか。妖怪の正体や妖術を照らし出す鏡と言われ、かの西遊記にも三蔵法師に化けた妖怪の真の姿を暴くために使用されています。
この雲外鏡、とある神様が所有されていたのですが、罰当たりなことに何者かによって持ち去られてしまいました。今はどこにあるのか分からず、所在不明となっております。まあ、罰当たりにはいずれそれなりの天罰が下ることでしょう。
問題は雲外鏡が外に持ち出されたことです。もし雲外鏡が妖怪の手に渡れば、人間を騙したいと思っている妖怪にとっては邪魔なものでありますから、いつか壊されるかもしれません。それは本当に困ります。神様から無傷で戻すように言われておりますゆえ、壊れましたでは許されないのです。神様つきの役人としては由々しき事態です。
そして、雲外鏡が妖怪ではなく人間の手に渡れば、その人間の真の姿が見えてしまいます。その姿は人間の形を保つことができているのでしょうか。形の崩れた姿の自分を見た人間は、人間の心を保つことができるのでしょうか。神様は優しい方ですので、人間たちのことをいたく心配されておりました。
妖怪の手に渡っても、人間の手に渡っても問題となる鏡。それが雲外鏡です。
もし、どちらかで見かけた際には、鏡を覗くことなく、私共にご連絡下さい。
さすれば、あなたの秘密は守られます。
11/3/2024, 11:59:57 AM