モンブラコン*

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       モンブラコン*
~~~~~~~~『君と出逢ってから、私は…』

「ただいまぁーっ」
 暑い日、帰宅したらまず、カバンを玄関に置き、服を脱ぎながら家の裏に回り、お風呂場の窓(古いので大きい)から、丸めた服を脱衣場の洗濯カゴに投げ入れながら体を湯船へダイブ!
 バシャーン…。
「おぎょうげわれぃなぁクショボーズ…」
 ビックチョコパイを食いながらトイレから出てきた姉が、文句を言いながら脱衣場の扉を閉めた。トイレで食べる人に言われたくねぇ。
 お湯の温度はぬるめで、汗だくのほてった身体に丁度良い。テイちゃん(兄)が、気温と湿度から的確な温度で用意してくれていたのである。
 お風呂場の壁には、水を入れるとクルクル回る玩具が貼り付いている、未だに姉さんが遊ぶからあるんだけど、元々は幼かったオレに買ってくれた物だ。
 オレは2歳で終わるはずだった。
 姉と兄に救われ、
 有り得なかった時間を貰った。
 それだけじゃない、テイちゃん達は、オレが普通だったら何を経験するかを考え、他の子と同じ様に学校に通わせてくれたり、遊園地や動物園に連れてってくれたり、色んな玩具を買ってくれたり、思い付く限りの事をしてくれた。
「これ入れるん?」
 姉さんが、ボール型の入浴剤を持って来た。
オレの手のひらでブクブクと泡を出して溶け、中から…エビフライの玩具が出てきた。
「ちっレアぬチョゴフライでねぇのか…」
 捨て台詞とエビフライを残して、姉さんは風呂場から出ていった。レアはチョコの天ぷらか…。
 数秒後、今度はテイちゃんが入って来て、つま楊枝にさした一口サイズの林檎を6個、『あーん』の顔♡しながらオレの口に入れ、笑顔で出ていった。楽しい♡
 と、まぁ若干過剰な愛情を頂きながらも、ここまで生かして貰ったオレ、
 怪物姉弟末っ子である。
 もし人間で、今より幸せで良い生活出来たとしても、姉さんとテイちゃんを選ぶよ。
 玩具なくても、選ぶよ。

5/6/2023, 2:38:51 AM