『大切なもの』
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いつもありがとうございます。
今日も仕事が終わらず、休憩中にガサガサと書き連ねたものです。
描写も少なく読みにくいですが、ご容赦ください。
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「ただいまー」
「おかえりなさい。今日もお疲れさまでした」
「ありがとー」
職場から帰宅した彼女を玄関で出迎えたときだった。
彼女はシューズボックスの上で展開されている、俺の推しのグッズの一点に目を向けて首を傾げる。
「……ええっと、れーじくん?」
「なんでしょう」
「変な宗教にハマったりした?」
「俺の神はあなたなんですけど、開祖した覚えはありません」
訝しんでなにを言い出すかと思えば。
俺は彼女の言葉を真っ向から否定した。
「帰宅そうそう、どうしたんですか?」
「怪しげな石ころがショーケースの中に入れられて、物々しく飾ってあるからだけど?」
「あぁ」
5センチ四方のショーケースの中に小さな座布団を敷き、その上に1円玉にも満たない大きさの小石を乗せて飾っていた。
小さいながらも推しのグッズで染めあげたシューズボックスエリアのなかでは、この小石は異彩を放っているように見えるらしい。
彼女は警戒心を露わにするが、宗教や風水などといった、そんな大げさなものではなかった。
「ショーケースは100円ショップで調達したものですよ? クッションはちょうど紫色がガチャガチャで出てくれたので採用しただけです。よく見るとフジの花模様の布であなたのイメージに合うかなと思って採用しました。俺的には隣に置いているショーケースのサイズに合わせて5cm大の小さな推しのアクスタ制作のほうに力を入れたんですけど」
「え」
彼女は石ころと俺に目を配り、ますます眉間の皺を深くしていく。
「宗教じゃなくて石ころ集めにハマったの?」
「それにハマりそうなのは、むしろあなたのほうでは?」
「そんなことしないもん」
「この子はあなたが俺に初めてプレゼントしてくれたものです」
「……?」
「クリスマスをひとりで過ごすのは寂しいから、せめてあなたからのプレゼントをくださいとおねだりしたら、こちらをくれました。本音を言えばあなた自身をくれないかなと淡い期待を抱いていたのですが、さすがにことを急ぎすぎたようで、恥ずかしがって逃げられてしまいました」
「全然身に覚えがなくて怖すぎるけど、厚かましさがれーじくんって感じだから概ね事実に沿ってるんだろうな。認知の歪みはだいぶひどそうではあるけれども」
得体が知れたせいか、彼女は無遠慮にショーケースを手に取り、俺に差し出した。
「とりあえず捨ててくれる?」
「なぜですか!?」
「呪われそうだから」
「毎夜磨き続けてようやくあなたの恋人になれて、さらには夫として昇格できたんですからご利益しかないでしょう!?」
「み、みが……?」
「玄関先に石を置いておくと、邪気の侵入を防ぐ効果があるんですよ?」
「あ、宗教じゃなくて占いとかスピリチュアルにハマった感じ?」
「違います。俺のマイムーブはあなたです」
「あっそう。もういいや。好きにして」
「そうですか。それはありがとうございます」
面倒になったのか、投げやりな言葉を聞いたあと、俺は彼女のスポーツバッグを引き取った。
その荷物を玄関先に置き、彼女を抱える。
「おわっ!?」
俺にお姫様抱っこされた彼女は、パチクリと瑠璃色の大きな瞳を瞬かせた。
「え、な、なに?」
「原石を磨こうと思いまして」
「原石?」
「ええ。俺の大事な大事な宝物です」
戸惑いを隠さない彼女にかまうことなく、俺の機嫌は上昇気流に乗った勢いにまかせて彼女の唇をさらった。
「ん……っ、?」
わずかに赤く染まった彼女の頬に自分の頬を重ねて幸せに浸る。
「ピカピカにしてあげます♡」
「ピカピカって……。あ!? ちょっ、まさかっ!?」
「ふふ」
俺の思惑を察したらしく、彼女はジタバタと暴れ始めた。
しかし、こんなときでも彼女は俺を気遣う。
遠慮を含んだ抵抗などたかがしれていた。
彼女の甘さに甘えながら、俺は風呂場へと向かう。
「ねえ、おろしてっ」
「ダメです。今日の俺は、あなたをとことん甘やかす気分になりました」
「ダメだってば」
「イヤじゃないならいいじゃないですか」
我ながらめちゃくちゃな言い分である。
ちゅむちゅむとふわふわのほっぺたや、もちもちの唇に吸いついていけば、脱衣所に入る頃には彼女はヤケクソになって絆されてくれた。
「もうっ! 勝手にして!!」
「やった♡」
ばんざーいと、彼女の着ているシャツを脱がす。
そして、気が変わらないうちに俺も風呂へ押し入るのだった。
4/3/2026, 8:25:21 AM