不完全な僕、と書かれつつ配られたプリント。自殺予防か何かだろうか、不完全な人間でも大丈夫、君は君のままで良い!みたいなことが白背景に黒い明朝体で書き連ねられている。一番下には相談ダイヤルなどの連絡先と組織の名前が書いてあった。どこかから君が笑う声が聞こえた。
人間とは、常に不完全な生き物だと思う。欲深く、それでいて知識や技術があるからさらに先を求めてしまう。完全へのハードルは常に上がり続けているのだから届くわけが無いし、だからずっと不完全なままだろうに。生まれてから死ぬまでずっと不完全。まあ、強いて言うなら死んだ時にようやく完成するのかもしれないけれど。生と死をもって、人は完全となるような気がする。
不完全な僕は、完全な君がいた席を眺めた。
[不完全な僕]
8/31/2022, 2:12:12 PM