安達 リョウ

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優越感、劣等感(不条理な恋)


「いや、あの………気持ちは本当に嬉しいんだけど、俺には勿体ないっていうか。高嶺の花すぎて。ごめんなさい」

……………。

―――はあぁぁぁ。
肺の中の酸素を全て吐き出す、深い深い溜息。

………勿体ないってなに? 高嶺の花って?
そんなのこっちの知ったことじゃないんだけど。
誰が言ったか校内一の美人と評されて、あの子は別格だ特別だと崇め奉られ女子のやっかみをこの身一身に請け負ってきた。
この状況を打破するには相思相愛の誰かと対になるに限る、と告白をしてみても上記の理由で悉く断られる始末。もう立つ瀬がない。
これ以上わたしにどうしろって言うの。


「いや、あの………気持ちは本当に嬉しいんだけど、友達以上には見れないっていうか。このままの関係じゃ駄目かな? ごめんなさい」

………………。

―――はあぁぁぁ。
肺の中の酸素を全て吐き出す、深い深い溜息。

友達以上に見れない、女子として意識したことがない。もう耳にタコができる程聞き飽きたセリフ。
わたしの雰囲気が親しみやすいらしく、周りとの調和を慮る性格からか、後腐れなく男女共に友好的に接してきたのがどうやら仇になったようだった。
異性じゃなく男友達に近くて、とにかく付き合うという図が想像できない。
そんな理由で悉く断られてしまう。
こんなの治る治らないの問題じゃなくない?
どうすればいいのか誰か教えてほしい。

―――二人劣等感に苛まれ凹みながら歩いていると、ばったりとお互い正面で出くわしてしまった。

………。何か気まずい。

別に見られたわけではないものの、そそくさと無言のうちにすれ違う。

………あの子みたいに綺麗で美人だったら
………あの子みたいにフレンドリーだったら

わたしの恋の行方も違っていたのだろうか。

―――有りもしない相手の優越感に心が折れそうになり、お互い堪えきれず逃げるようにその場から駆け出していく。

とにもかくにも男の方に見る目がないのだ、と。
そう自分に強く言い聞かせ、わたしは唇を噛んだ。


END.

7/14/2024, 7:44:19 AM