作品38 冬は一緒に
夢の話をしようよ。お互いの将来の夢。職業でも願望でも何でもいい。未来の話をしよう。
まずは君から言ってよ。え?先にどうぞって?しょうがないな。先に話すから、ちゃんと次に話してね。
……なんか、照れくさいね。よし、じゃあ言うね。
毎朝起きるたび眠そうな君の顔を見て、ご飯食べてる顔を見て、楽しそうな君を見て、喜んでる君を見て、泣いてる君を見て、落ち込んでる君を見て。毎日、百面相してる君の感情に触れていたい。
ストーカーとかじゃないからね。純愛だからね。……ほら、笑ってくれた。それをずっと見てたいんだ。
見れるためなら何でもする。
具体例?えーそうだな……。
春はさ、桜を見に行こうよ。近くの公園までお弁当持っていって。あ、でも夜桜も好きそう。どっちがいい?あとで教えてね。
夏はさ、海に遊びに行って、祭りでりんご飴食べようよ。貝殻を持って帰って、思い出として形に残してさ。りんご飴は大きいから一緒に食べることになるかもね。君一人で食べてもいいよ。好きなもの、何でも買ってあげる。
秋はさ、紅葉を見にどっか旅行行こうよ。少し肌寒いかもだから、羽織るものも買わなくちゃね。準備するの楽しそう。服は君に選んでもらいたいな。いいかな?
冬はさ。冬は一緒に熱々の肉まん半分こして食べよ。クリスマスだったらケーキを半分こ。プレゼントを交換こして、一緒に過ごそう。年越しも一緒がいいな。
そういうのを一周だけじゃなくて、飽きるまで何度も何度もしたい。
えっと、だからね。何が言いたいのかっていうと。
夢は、君とずっと一緒にいることだ。
どんなに天気が悪くても、どんなに辛いことがあっても、どんなに周りから否定されても、君の隣にいたい。
……ほら。次は君の番だよ。早く言ってよ。……泣かないでいいから。ごめんねとかもいいから。ねえ、おねがいだから。
これ以上その手を冷たくしないで。ちゃんと心臓動かして。ほら、息吸って。
ねえ、一緒に未来の話をしようよ。君の願いを聞きたいな。さっき約束したばっかじゃん。聞かせてよ。喋ってよ。
聞かせてくれるまで、ここにいるからさ。
だからお願い。まだ寝ないで。その顔はまだ見たくない。
12/18/2024, 11:54:43 AM