未炭酸/無炭酸

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信号を待ってる。

誰かからの信号を、待っている。

そんな人はたくさんいる。

「お。青信号だ。お前ら渡るぞ。」

今日も鶴の一声でやっと渡る。

誰かが渡らないと渡れない。

ペンギンみたいにヨチヨチ渡る。

はいはい仕方ないな。と車は待ってる。

ハイハイ、ヨチヨチ。

僕らはいつまでたっても赤ちゃんだ。

辛い世の中でえんえん泣き、
疲れが溜まればおぎゃぁと喚く。

無力で可愛くて危ない僕ら。

上司と保護者に泣き、
時に土下座で守ってくださいとお願いする。

そして、車に轢かれれば死んでしまう。

それが僕ら。


指示を待っている。

誰かからの指示を、待っている。

そんな人はいっぱいいる。

「ええい!もう待てねぇ!赤信号だが渡ってしまえっ!」

ある時誰かは言うだろう。
鶴じゃなく、悪魔の一声。

どんな組織も光と天がなければ、
魔が差すというものだ。

例え悪魔だろうが天使だろうが上司だろうが、

「車が来てねぇうちにっ。急げ!行けぇ!」

と言われれば行かなきゃいけない。

急いで渡る。

必死に走る。

赤信号 みんなで渡れば 怖くない

渡りきって後ろを見れば人一人いない。
よくあることだ。
みんな轢かれて死んだのだろう。

そうやって僕らは生きている。
体はとっくに赤信号。
でも行くのさ。生きるために。

赤信号 みんなで渡れば 罪はない

次の信号を待つ。



4[信号]



9/5/2025, 11:41:56 AM