落としたペンを拾ってくれて、こちらに渡してきた時。
「これ、書きやすくていいよね」なんて、さり気ないひと言つきで。
暑い日に室内に篭っていたら、アイスを差し入れてくれた時。
「休憩しないと倒れるよ!」と、ほかでもないぼくのために怒って顔を顰めていた。
本に書かれた、少し難しい言葉の意味を説明した時。
「とても分かりやすくて助かります、どうもありがとう!」
眩しいくらいの笑顔で感謝の言葉をもらった。後日、小さなチョコレートもお礼としてもらってしまった。
ほかにも、ほかにも。あなたとの小さな思い出は山のようにあって、ぼくの心に幾層にも積み重なっている。
「――忘れられないなあ」
何でもないことでも、どんなに些細なことでも、どれもこれも、すべてあなたに関することだから忘れられない。
記憶を占領し続けるあなたの存在が、少し嬉しくて、少し悔しくて。
【忘れられない、いつまでも。】
5/10/2023, 8:49:41 AM