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〈現実逃避〉

アラームが鳴って目が覚める。
バッとベッドから起き上がり、音を止めると、外から雨音が聞こえてきた。
どうやら今日は雨らしい。最悪だ……。

そう思いながら、リビングへ向かう。
少しだけでも何か食べないと、と冷蔵庫を開ける。
意外と色々入っているのは、姉と兄のおかげだろう。
ありがたく牛乳とヨーグルトを手に取り、
テーブルに置かれていた、兄妹のどちらかが作ったであろうパンケーキを頬張る。

食べ終えると、学校へ行く支度を始める。
行きたくないなぁ、なんて思いながらも、兄妹二人に迷惑はかけられない。
子どもの頃。
両親が亡くなってから、兄は大学を辞めてまで、私と姉を引き取ってくれた。
だから、こんな我儘は言えない。
言えるわけがない。

――それでも。
こんな雨の日は、本当に行きたくなくなる。
学校に行く理由なんて、将来職に就くためだし。
どうせなら通信に行けばよかったかな、なんて思ってしまう。

人間関係はもともと苦手だ。
先生にも相談できそうにないし、友達がいればと思うけど、人見知りすぎて、話しかけられるとテンパってしまう。
はぁ……とため息がこぼれる。
毎回、学校へ行く前はこんなことを考えている気がする。
家にいたいな。

どうせなら一日中ゲームしていたい。
ネットの中の私なら、平気でネッ友と会話できるのに。
ネットで大丈夫でも、現実はこれだからなぁ。
あぁ……やばいかも。本当に学校へ行きたくなくなってきた。

もう家を出ないと、ほんとにやばい。
慌てて傘を持ち、行ってきます…と一言、家のドアを開ける。


こうやって、また一日が始まる。
きっと明日も、同じように行きたくないと思うんだろう。
どうせなら、ずっと家でゲームをしていたい――なんて。
私は、今日も現実逃避をしてしまう。

現実はゲームみたいにうまくいかない。
それでも、今日という一日を、少しでも頑張って生きていけるのかもしれない。
……なんて、らしくないことを思ってしまった。

2/28/2026, 10:15:44 AM