初心者太郎

Open App

—うまくいきますように!—

『おはようございます。最近おかし食べすぎです。おかしの量をへらしましょう。』

今日も手紙が来た。
差し出し人は『未来のあなた』とある。
数日前から一日に一通ずつ、ポストに入れられている。

「お母さん、どうしたの?」ランドセルを背負った息子が訊いてきた。
「またポストに入ってたのよ」

息子に手紙を渡した。
手紙の内容は、私の生活態度を戒めるものばかり。特に食事面の注意が多い。

「未来のお母さんは、見てくれてるんだね」

嬉しそうに息子は言った。
その言葉から、お菓子を食べ過ぎだと息子にも思われていた事が分かった。

もっと健康的な生活をしよう、と思った。

——

学校から帰ってきた。お母さんはまだ仕事だ。
お母さんが帰ってくるまでに、僕にはやらなくちゃいけない事がある。

「明日の手紙には何を書こうかな……」

パソコンの前で頭を悩ませた。
僕が手紙を書き始めたのには理由がある。

「今度こそ、ダイエットを成功させるわ!」

これは、数日前にお母さんが言っていたことだ。実は前回のダイエットは、全然長続きしなかった。僕が途中で何回も注意してもダメだった。

それなら、未来のお母さんに注意してもらおう。そう考えたのだ。

「今回のダイエットは成功しますように」

僕は静かに願いを込めた。
そして、手紙を完成させた。プリンターから紙を取る。

『おはようございます。野菜を食べる量を少し増やしましょう。』

お題:秘密の手紙

12/4/2025, 2:46:44 PM