一筋の光
ステージを照らすスポットライトは一筋の光だ。
時に静かに、時に熱く、ドラマチックに、エモーショナルに、ステージに立つ人間を照らす。
そこに自分が立つとは夢にも思わなかった。そこに立つのは、たとえば自分の手を引いてくれた人や、背を押してくれた人、並んで笑ってくれた人、そして重く閉ざされた扉を押し開けてくれた人。そんな、光の中で輝く者たちのためにあるものと思っていた。
本番前の舞台に立ち、一筋の光を浴びる。奇跡のように自分がこの手に得た、夢のような、魔法のような甘いひととき、幸せな時間を。
「お客様にお届けしよう」
数時間後には熱に包まれる会場の、まだ静かな天井を見上げる自分に彼が笑いかけた。もちろんだとも、と胸を張って答えて自分も笑ってみせる。
仲間たちと最高のパーティをここに。それこそが、開かれた扉から射し込んだ一筋の光に導かれて、この場所に辿り着いた自分の使命だ。
11/6/2023, 12:29:24 AM